No.665 使わぬ自由・持たない自由

 消費税が10%になると騒いだ頃、その流れでもう一つ騒ぎがあった。電子決済。現金でない方法で決済すると政府から5%還元され、電子決済サービスを行う会社からも幾ばくかの還元があるというもの。
 近所のとてもよく利用する中国料理のお店は、8月に還元指定登録を申請し、11月の終わり頃になってようやく許可が下りたようだ。店内に赤いポスターで「5%還元」の文字が躍っている。だが、我が家は相変わらず現金決済なんだけどね。
 さすが中国料理屋さんだなぁと思った。というのも、中国ではスマホは言うに及ばず、その中でもあるチャットアプリを利用しなければ、普通の生活も送れないような状態にあるらしい。
 登録には仮名・架空ではない名前や住所が必要なのはもちろん、銀行口座も登録する。生活上のあらゆるサービスがチャットアプリ上で行われ、行政サービスでもスマホを持っていない人の窓口はあるにはあるが「スマホを持つ人と一緒に出直してこい」とあしらわれているとか。なにせ9億人以上が利用(19年6月時点でアクティブユーザーは11億3200万人!!)しているのだ。コンビニのレジには釣り銭も用意がないとか、当局に抵触する発信をしたら、自撮りの顔写真や音声を登録されるとか、様々尾ひれのついた話しになっている。
 日本でもある調査によると20代から70代の日本人男女100人に「スマホアプリ利用で個人情報登録が必要だとしたら?」と聞いたところ、「便利になるなら問題ない」が72人、「個人情報登録したくない」が26人、「わからない」が2人だったという。サンプルが少なすぎるけど、ご勘弁。
 「みんなが使っている/持っている」。サンタさんへのおねだりの定番セリフだけど、案外おとなの方がその考えに支配されているのかもね。

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